結論:ツールを許可するだけでなく、用途・データ・権限を一緒に決める#
会社で生成AIを安全に使うには、「ChatGPTを使ってよい」のような製品単位の許可だけでは足りません。誰が、どの契約で、何の仕事に、どの情報を使い、出力を誰が確認するかを決めます。
最初は公開情報と架空データだけの小さな業務で試し、入力・出力・共有・削除の流れを確認します。個人アカウントや未承認ツールへ業務データを移すことを、作業効率のための例外にしません。
導入前の8項目#
- 用途:文章の下書き、調査、議事録、コードなど対象業務を限定したか。
- データ:公開、社内限定、機密、個人データの区分を決めたか。
- 契約:個人版・法人版・APIのどれを使うか特定したか。
- 保存:学習利用、保持期間、人による確認、削除条件を確認したか。
- 権限:接続アプリ、ファイル、ブラウザ、外部送信を最小限にしたか。
- 共有:会話リンク、共同スペース、管理者、退職者の扱いを決めたか。
- 出力:事実・権利・差別・個人情報を誰が確認するか決めたか。
- 事故対応:誤入力、誤共有、秘密漏洩時の報告先と停止手順があるか。
入力情報を4区分する#
| 区分 | 例 | 基本対応 |
|---|---|---|
| 公開情報 | 自社サイト、公開資料、公開統計 | 権利と正確性を確認して利用 |
| 社内限定 | 手順書、一般的な議事メモ | 許可済み環境と用途だけで利用 |
| 機密情報 | 戦略、契約、未公開売上、ソースコード | 原則入力せず、必要なら契約・技術・承認を個別確認 |
| 個人データ | 顧客、従業員、採用、健康・相談情報 | 法令・目的・本人同意・委託条件を含め専門部署が判断 |
単純な匿名化では、複数項目の組み合わせから再特定できる場合があります。加工基準と確認者を決め、現場の自己判断だけにしません。
契約と設定で確認すること#
経済産業省のAI契約チェックリストは、入力データと出力について、特定、提供、利用、外部提供、権利帰属などを確認する観点を示しています。個人情報保護委員会は、本人同意なしの個人データ入力が回答以外の目的でも扱われる場合、法令違反になる可能性を注意喚起しています。
法人向け製品がモデル学習不使用を掲げていても、保存、安全対策での確認、外部委託、接続アプリ、組織管理者の権限は別項目です。販売ページの短い説明だけでなく、契約・プライバシー・管理設定を対象プランごとに確認します。
AIエージェントや接続アプリは、操作権限も確認する#
メール、Drive、GitHub、ブラウザ、社内データへ接続するAIは、チャット本文だけでなく接続先の情報を扱います。閲覧だけか、作成・変更・削除までできるか、対象フォルダやリポジトリを限定できるか、人間承認を挟めるかを確認します。
最初の検証では、テスト用データと限定アカウントを使い、本番・顧客・決済・公開操作から切り離します。プロンプトインジェクションなど外部コンテンツ由来の指示を受ける可能性も考え、外部送信や重要操作を自動承認しません。
社内ルールは1枚で使える形にする#
長い規程だけでは現場が判断できません。利用可能な製品とアカウント、入力OK・加工必須・入力禁止の具体例、出力確認者、事故時連絡先を1枚にまとめます。例外は口頭で認めず、期限と対象業務を記録します。
導入後は、利用量ではなく、誤入力、共有範囲、出力の訂正、作業時間、レビュー時間を確認します。全面禁止と全面許可の二択ではなく、安全に完了できる用途から範囲を広げます。確認日:2026-09-16。個別の法令・契約判断は社内法務や専門家へ確認してください。
次は、選び方を整理する